【60代男性<外傷性脳挫傷と他の傷病による障害の>1級】肢体診断書で申請

男性:60代・男性
傷病名:外傷性脳挫傷と後の別傷病による肢体障害悪化
決定した年金種類と等級:障害厚生年金1級
支給月から更新月までの支給総額:約560万円

●ご相談に来た時の状況

仕事のため、遠方にお住まいの息子様からお父様の相談をお受けしました。
お父様は酩酊状態で転び、「外傷性脳挫傷」と診断されました。左半身まひの障害が残り、デイサービスを利用して何とか日常生活を送っていらっしゃいました。
リハビリ中に別の病気が見つかり、入院加療となりました。ベットで安静療養が必要であったため、左半身まひの障害が更に悪化。一人では日常生活が送れない状態となられました。
息子様から「酩酊状態で自身がおこした事故の後遺症でも障害年金を受給できるのか」とのご相談でした。

●当センターによるサポート

障害年金は、障害発生の原因は問われません。
残った障害の状況が判定されます。

肢体障害の場合、障害の程度は4つに区分されます。

1.上肢の障害
2.下肢の障害
3.体幹・脊柱機能の障害
4.肢体の機能障害

脳挫傷は「4.肢体の機能障害」で障害の状況が判定されます。

【ポイント1】申請で大切なこと

肢体の障害が上肢及び下肢などの広範囲にわたる障害(脳血管障害、脊髄損傷等の脊髄の器質障害、進行性筋ジストロフィー等)の場合は、「4.肢体の機能障害」が認定基準となります。
認定基準では、下記のように定められています。

「関節可動域、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、 日常生活における動作の状態から身体機能を総合的に認定する。
なお、他動可動域による評価が適切ではないもの(例えば、末梢神経損傷 を原因として関節を可動させる筋が弛緩性の麻痺となっているもの)に ついては、筋力、巧緻性、速さ、耐久性を考慮し、日常生活における動作の 状態から身体機能を総合的に認定する。
と定められています。

つまり、日常生活の動作でできないことを明らかにすることが大切です。

【ポイント2】「廃用」に関する日本年金機構の考え方

「廃用」とは安静期間が長期間続いた場合に筋力や内臓の機能が衰えていくことです。

例えば、脳梗塞からの肢体障害を例にとると・・・
ある時期に脳梗塞の治療は終了し、機能維持のリハビリをしたが、筋力などが年々衰えて現在はほぼ寝たきりのようなケースでは、「障害認定日においては2級程度、現在は1級程度」と考えてしまいがちです。

しかし、日本年金機構の認定基準では、「脳梗塞による障害状態は認定日時点において確定しその後の筋力の衰えは廃用性によるもの」と判断されます。
つまり、認定日~現在までの障害の進行は「原因傷病(脳梗塞)」によるものとは必ずしも言えません。
障害状態は認定日において症状固定(治療を続けてもこれ以上症状が良くならないという状態)したと医師は判断しています。
その時点で、機能回復するための治療は終了し、以降は機能維持のリハビリに入ります。一方、人間の体はどうしても加齢などで衰え、劣化していきます。
それは原因傷病が何であろうと生じる現象であり、原因傷病(脳梗塞)と以降の廃用性による機能低下には相当因果関係はありません。
寝たきり状態なのに1級には該当しない結果になります。

今回のケースでは、別の病気が見つかり、入院中ベットで安静療養が必要であったため、左半身まひの障害が更に悪化したことが認められ、1級の判定となりました。

以上を踏まえ、
相談者の日常生活状態をご本人から丁寧に聞き取りました。
病歴・就労状況等申立書には日常生活の支障を具体的に記載しました。
また、予後の見込みを詳しくご記載いただいた適正な「診断書」を頂戴することができました。

●結果

提出後2ヶ月で障害厚生年金1級の受給が決定しました。
一般的に受給が難しいと言われる傷病でも、日常生活の不自由さを正しく伝え、適正な診断書がいただければ、より高い等級での受給につながります。
経験豊富な社労士にご相談ください。