【60代男性<顕微鏡的多発性血管炎>1級】難病での障害年金申請

男性:60代・男性
傷病名:顕微鏡的多発性血管炎(指定難病43)
決定した年金種類と等級:障害厚生年金1級
支給月から更新月までの支給総額:約480万円

●ご相談に来た時の状況

顕微鏡的多発血管炎は、「指定難病43」です。
一般的に難病は障害年金が受給が難しいと言われています。
障害年金受給が難しい傷病名であることはご存知でしたが、日常生活に大きな支障があり、就労できない状況なので、年金を受給できないかご相談にいらっしゃいました。

●当センターによるサポート

<顕微鏡的多発性血管炎(指定難病43)とは>
顕微鏡的多発血管炎は、腎臓、肺、皮膚、神経などの臓器に分布する小型血管(顕微鏡で観察できる太さの細小動・静脈や毛細血管)の血管壁に炎症をおこし、出血したり血栓を形成したりするために、臓器・組織に血流障害や 壊死 がおこり臓器の働きが損なわれる病気です。
特に、腎臓の糸球体と呼ばれる毛細血管および肺の肺胞を取り囲む毛細血管の壊死をともなう炎症が特徴的です。
 
代表的な症状は下記のとおりです。

  • 全身症状
    発熱、食欲不振、 全身倦怠感 、体重減少など
  • 肺の障害
    血痰、空咳、息切れ、肺胞出血、間質性肺炎(胸部レントゲン検査やCT検査でみつかります)
  • 腎臓の障害
    血尿、尿検査異常(尿潜血反応陽性、蛋白尿、赤血球円柱など)、足の浮腫(むくみ)、腎機能低下、急速進行性糸球体腎炎
  • 末梢神経(手足)の障害
    手足の痺れ・痛み、筋力低下、関節痛、筋肉痛
  • 皮膚の障害
    紫斑、リペド(網状皮斑)皮下出血、皮膚潰瘍など
  • 心臓の障害
    心不全、心筋炎、不整脈

 
<難病の障害年金申請上のポイント>

【ポイント1】初診日の確定

原則として初診日は、障害の原因になった傷病で初めて医師等の診察を受けた日のことです。しかし難病については症状が初めて出て受診した日ではなく、確定診断を受けた日が初診日になるケースもあります。
また、4大難病(線維筋痛症・化学物質過敏症・慢性疲労症候群・重症筋無力症)については、一定の条件を満たしていれば請求者が申し立てた日を、障害年金の初診日として取り扱います。
このように、難病の初診日はケースバイケースです。
慎重に「初診日」を確定しなければなりません。

【ポイント2】症状に応じた診断書を選ぶ

「指定難病だから受給できる」わけではありません。、障害等級に該当しているかが審査されます。

「診断書を選ぶこと」は「障害の認定基準を選ぶこと」

難病の場合は、病気の種類によって症状の出る部位が様々です。
例えば、症状が全身に出ている場合には「その他の診断書」を使用します。
一方で、体の一部に症状が出ている場合には、部位に応じた診断書を選び、お医者さんに書いてもらう必要があるのです。視力低下の症状なら「眼」の診断書、腎機能が低下しているなら「腎臓」の診断書を選択します。
難病で障害年金を申請する際には、症状に応じて診断書の選び分けが必要です。

以上を踏まえ、
相談者の日常生活状態をご本人から丁寧に聞き取りました。
様々な障害状態と認定基準を考慮し、「肢体」の診断書を用いることにしました。
その上で、病歴・就労状況等申立書には日常生活の支障に加え、【運動麻痺、感覚麻痺が不可逆的な症状】であることを記載しました。
また、お医者様に、日常生活の不便さを詳しくお伝えしました。お医者様からは予後の見込みを詳しくご記載いただいた適正な「診断書」を頂戴することができました。

●結果

提出後2ヶ月で障害厚生年金1級の受給が決定しました。
一般的に受給が難しいと言われる傷病でも、日常生活の不自由さを正しく伝え、適正な診断書がいただければ、より高い等級での受給につながります。
経験豊富な社労士にご相談ください。